まにあ~なは「刺しゅう」「ソーイング」「パターン」が学べる武蔵小金井の手芸カフェ。 3周年を迎えて、さらに新しい「明日」へ。
武蔵小金井駅から5分ほど歩くと、白いタイルの建物に緑の日よけが印象的な手芸カフェ「まにあ~な」(スペイン語で“明日” “朝”の意)の店舗が見えてきます。明るい店内に入ると、大きなテーブルを囲むように作品とカラフルな手芸用品が並びます。ここは、刺繍とソーイングの材料・道具販売、手芸教室の他、お茶を飲みながら手芸を楽しめる手芸カフェとしても利用できます。3周年を迎えた店舗で、オーナーの千葉恵さんにお話を伺いました。
今年(2019年)11月で手芸カフェ「まにあ~な」3周年おめでとうございます。どんな3年間でしたか?
以前は刺しゅう専門店でビーズ刺しゅうの講師をやっていたのですが、そこのオーナーが、お客様に寄り添うように接客しているのを見て、とてもいいなあと思って。もともと人が集まる場やネットワークをつくるのが好きだったので、私もやってみようと思ってスタートしました。私がセレクトした手芸用品の販売と、私自身が授業をやったり講師を招いたりする定期教室とワークショップを開催しています。
3周年を迎えた今でもまだまだ大変なことはありますが、ワークショップや刺しゅうカフェを通して手芸好きな方がここに集まり、みんなでワイワイやってるのを見るのが本当に好きなんです。
刺しゅうカフェの日は、お茶だけ頼んでもらえればここで自由に刺しゅうが出来ますよ、という日なのですが、皆さん実にいろいろな刺しゅうを楽しまれていて、先日は絽ざしを持ってこられた方もいました。刺しゅう以外の手芸も同時にやられている方が多いので、話題はパッチワークのことになったり、お針道具を見せ合ったり、インスタを交換しあったり、幅広く情報交換を楽しまれています。
千葉さんも刺しゅうだけではなく、パタンナーからキャリアを積まれたのですよね?
もっと遡れば、小学生の頃に兄が家庭科の宿題で刺しゅうをやっていたのを見て面白そうと思ったところからですね。そこからお小遣いは全て手芸用品につぎこみました。
それでも、一度は保母さんを目指して勉強していたのですが、アメリカで服飾デザインをしているいとこのところに遊びに行く機会があって、そこで「本当に好きなことを仕事にしても良いんだ」と目覚めてしまいました。保育科はちゃんと卒業しましたが、そのままドレスメーカー学院に入って、そこからはもうどっぷりです(笑)
学校を卒業してすぐは、プレタポルテのパタンナーとして就職しました。新人教育に力を入れているところで、ミリ単位の基準書があったり仕事の後にも研修があったりと、ずいぶん勉強しましたが、何もないところからもパターンが引けるようになりたい、と「アミコファッションズ」というパタンナーのための学校にも通って、仕事しながら立体裁断のクラスで勉強しました。
その後、夫の転勤で東京を離れることがありましたが、外注としてパターンやソーイングの仕事をしたり、また東京に戻ってからは高級婦人服メーカーの洋服を作る仕事をしていました。
パターンが引けるだけではなく、ソーイングもできるというところが千葉さんの強みですね。それに、教えるという経験もおありだとか?
高級婦人服を作っていたころに母校の恩師から電話があって、自分の後任として母校の講師にならないかと声をかけてくださいました。婦人服の仕事は楽しかったけど、講師の仕事は自分で望んだからと言ってできる仕事ではないので、やらないで後悔するよりもやってみようと講師のオファーを受けることにしました。婦人服の社長も、何かあったら戻ってきていいよと送り出してくれたのがうれしかったですね。
その頃は、学校を卒業してそのまま講師になるという流れが一般的だったのですが、私は一度社会で実務を経験したうえで学校に戻る、という新しい採用の形の一期生だったんです。前例のない中での経験だったので難しい面もありましたが、そもそも私は「教える」ということは「学ぶ」ことだと思っているので、講師という立場を通してたくさんのことを学ばせてもらいました。教える以外にも、研究職なので自分でテーマを見つけてそれについて常にアンテナを張りめぐらせていたのですが、求めるものがキャッチしやすい最先端の場所ということも楽しかったです。
アメリカ行きで我が道に目覚めてからは、ずっと洋服づくり一筋ですね。
それが実はそうではなくて…。
ダイエットのためにスポーツクラブに通い始めたら、すっかりはまってしまったんです。
体がきちんとスリムになり、今まで自分が作った服がぶかぶかになっていることにある日気が付いて、急いで採寸したんです。それで自分の原型を作ってみるうちに、ここの筋肉を鍛えるとこんな風になるんだということがものすごく面白くなって、機能解剖学とかに興味を持ち始めたんですね。本当に毎日のように自分のパターンが変わっていくのをパターン修正しながら面白いなと思ったんです。それで、そういった知識とか、体の動きとかを勉強する場所はどこだろうと調べたら、エアロビクスインストラクターの養成コースならそういうことが勉強できるということがわかり、学校に勤めながらそこに通い始めました。
皆さんこの話をすると驚くんですけど、私の中では繋がっているんですね。身体の変化とパターンは密接につながっているので、自然の流れだったんです。
やがてインストラクターの仕事がメインになって、ズンバエクササイズとかヨガとか資格もたくさん取ってお友達もたくさんできたんですけど、ある日練習中にケガをしてしまって…一瞬の事でドクターストップになってしまい、インストラクターの途はあきらめざるを得なくなりました。
その後、また刺しゅうやソーイングの道に戻るのですが、神様が「フィットネスに行っちゃったけど、あなたの道はこっちだよ」って言ってくれたのかもしれませんね。
突然の方向転換に驚きましたが、そんな柔軟で幅広いご経験から生まれたお店、「刺しゅう」「ソーイング」「パターン」が学べる「まにあ~な」のお教室について教えてください。
大きく分けて、会員制のクラスと外部の講師の定期レッスンと単発のクラスがあります。
コース内容は、会員制の「フリーパターン」「フリーソーイング」「刺繍教室」「PM教室ビギナー」「PM教室プロ」「PM教室アドバンス」、定期レッスンの「かぎ針編み教室」「刺繍ワークショップ」「ママソーイング」「タティングレース」「バッグ&ポーチ教室」などがあります。
他に、不定期でどなたでもお茶を頼むだけで出入り自由な「刺繍カフェ」の日があります。
どの内容もそうですが、特にパターンはやはりビギナーの方はすぐには覚えられないし、授業でわかったつもりでも家に帰って復習しようとすると全然わからない、ということもあるんです。そんなときは次に行ったときにまた教えてもらおう、くらいの気持ちで、焦らずに取り組んでもらいたいなと思っています。人間は忘れる生き物だから忘れていいんですよ、っていつも言っています。
お店以外にも、会員500人を超えるメルマガ配信や、ブログ、そしてやがてメンバーが1000人に届きそうなFacebookの刺しゅうグループ「ちくちく愛好会」の運営など多彩にご活躍されていますが、これからはどこに向かっていきますか?
私は1+1は2じゃないと思っているんですね。私ができることは、ソーイングとパターンと刺しゅうなので、「3つ」柱があることでそれが大きな可能性に繋がると自分では思っているんです。刺しゅうだけを一生懸命やれば一人の刺しゅう家として有名になるのかもしれない。同じようにパターンだけを一生懸命やればそれでいいのかもしれない、とも思うのです。でも、いろいろやることで、たとえそれが「らせん階段」を上るようにゆっくりゆっくりしか上がっていけないとしても、きっと太い柱になるはずだと信じています。
いつもやりたいことにまっすぐ突き進んできた千葉さんですが、最後に「ゆっくりゆっくり」と言われたことがとても印象的でした。どこで何に携わっても、たくさんの人を集めてネットワークを作ってしまう魅力は、大変な経験も笑顔で話してくれたその明るさにあるもかもしれません。千葉さん、ありがとうございました!
※2019年11月時点の内容になります。
「まにあ~な」で学べる作品や、千葉さんの作品一覧は→コチラです
プロフィール |
千葉 恵さん 杉野学園ドレスメーカー学院産業教育科卒業 アパレルメーカーでパタンナーとして勤務したのち、サンプル縫製等を経て、母校ドレスメーカー学院 アパレル技術科の講師としてパタンナーの育成に携わる。 パターンメーキング技術検定1級、日本手芸普及協会刺しゅう指導員 2016年11月武蔵小金井に手芸カフェまにあ~なオープン(プロフィールは記事掲載時のもの) てといとのプロフィールページはコチラ |
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