1. HOME
  2. 手とひと
  3. 表現にこだわって動物、鳥、昆虫たちをアクセサリーに。お客様の評価や仲間のアドバイスを原動力に、私らしい“世界”を創りたい

表現にこだわって動物、鳥、昆虫たちをアクセサリーに。お客様の評価や仲間のアドバイスを原動力に、私らしい“世界”を創りたい

表情豊かで毛並みの質感まで伝わってくる動物たち、色鮮やかな鳥や昆虫たち・・・・・・生きものたちをモティーフに、「こんなの、ここにしかない!」とワクワクするアクセサリーを販売されている「かなねこや」さん。これまで製作した作品は、なんと100種類以上!創作を始められたきっかけや、こだわり、これからの夢などをお聞きしました。

「絵を描くこと」を仕事にしたい。幼い頃に芽生えた動物への「憧れ」を表現

動物たちをモティーフにしたアクセサリー作品を販売されるようになったきっかけを教えてください。

結婚や転職、退職などを経て、家事や育児と両立させながら、何か一生続けていける仕事がしたいなと考え始めた時、頭に浮かんだのが、幼い頃から大好きだった「絵を描く」ことでした。自身を猫にみたてた絵日記などをアートマートで販売し始めたのですが、絵だけでは少し寂しいなと思って作り始めたのが、動物をモティーフにした「プラバン」のブローチです。

ちなみに、アクセサリーの作品1号は母に誕生日プレゼントとしてあげた鳥のブローチでした。個人の趣味として作ってあげたものでしたが、「これ、買ったものじゃないの?!本当に作ったの?」と母が驚いてくれたので、「これは作品として販売できるのかもしれない」と思ったことがきっかけで、アートマートなどにも出展するようになったのです。

それが思いのほか好評で、手しごとの作家さんたちからも、イベントにご招待いただくようになり、本腰を入れるようになりました。手に取って質感なども確かめてからご購入いただきたいので、アートマートやイベントなどで委託・出展販売をするようになり5年くらいが経ちます。家事や育児の合間を縫って私なりのペースで約100種類以上の動物作品を作ってきました。

「プラバン」は、プラスチックの薄い板に油性ペンや色鉛筆で彩色しオーブンやトースターで焼いて縮ませるもので、子どもの頃にやったことがある方も多いかと思います。それまで手作りアクセサリーを作った経験がほとんどない私にとっても、始めやすいものでした。

動物たちをモティーフにしたのは、動物に対する「憧れ」みたいなものがずっとあるからだと思います。ペットとして動物を飼った経験はないのですが、動物や鳥、昆虫など、さまざまな生きものたちのフォルムや色の美しさ、なんとも言えない表情の豊かさなどにすごく心ひかれるんです。思い返してみると、幼い頃に読んだ動物を主人公にした絵本の影響なのかもしれません。

猫のように馴染みが深い動物は、物語の主人公のように擬人化して作ることもあります。ちなみに、屋号の「かなねこや」は、絵日記の主人公である自身を投影した猫のことを、私の本名を知ったある方が「かな・ねこ」と呼んでくださったことがきっかけで生まれました。


手しごと作家さんたちとの出会いの中で、世界でひとつの「作品」を生み出したいという思いが芽生えた

どんな手順で作品を作っていらっしゃるのでしょうか?こだわっていらっしゃることも教えてください。

プラバンでアクサセリーなどを作る場合、一般的には油性ペンなどで絵を描くことが多いのですが、私は、複雑で繊細なニュアンスが表現したくて、水彩色鉛筆を使っています。まず、作りたい動物を図鑑で調べるなどしてプラバンに下絵を描き、トースターで縮ませます。30%ほど縮むので、原画は大きめに描きます。縮ませた後、色鉛筆だけだと擦れて色が落ちてしまうので、耐性を上げるため、レジンで透明のコーディングをします。この際に盛り上がり、立体感が生まれます。

色鉛筆を使う方法は、もともと本を参考にして始めたのですが、技法や描き方は自分なりに研究してきました。色鉛筆を使って表現される作家さんは他にもいらっしゃって淡い色使いを活かされたものが多いのですが、私の場合はかなりくっきりと油絵や七宝のように表現していることが特徴ではないかと思います。

「絵を仕事にしたい」ということがスタート地点であったこともあり、「描く」という部分にはこだわっています。動物たちの毛並みの質感、複雑な色合いなどを再現すると共に、表情豊かに、どこかコミカルに仕上げることを目指しています。使用している色鉛筆も、いろいろなメーカーのものを試し、自分が思い描いている色が表現できるものを揃え、なんども塗り重ねて複雑な色合いを出すなど工夫をしています。

単に生きものを再現するにとどまらず、「描く」ということにこだわって、「かなねこやさんらしいね」と感じていただける作品を作りだしたいんです。あるお子さんが、キツネのブローチを見て「この子、ちょっと寂しそうだったから連れて帰ってあげたい」と購入してくださったことがありました。私が描いた猫の表情がお客様の心の琴線に触れたということであり、こうした声は本当に嬉しいですね。

実は、販売を始めた当初は、「プラバン」で作っている、ということに驚きを感じてくださるお客様が多かったこともあり、素材を”売り”にする、という気持ちが強かったんです。素材が安価な分、価格もできるだけ低く抑えて・・・・・・と考えていました。

でも、手しごと作家さんと交流する中で、それはちょっと違うんじゃないかと思うようになりました。「世界でたったひとつの“作品”としての値付けをしていいんじゃない?」と言ってくださる方がいらしたこともあり、単なる「モノ」としてではなく、 「作品」として価値を認めてもらえるようになりたいという思いが芽生えたんです。以来、「絵による表現」により一層力をいれるようになりました。


ディスプレイにもこだわって、多彩な生きものが息づく「かなねこやの森」を作りたい

今後の夢を教えてください。

これからも、ひとつひとつの作品についてこだわって製作すると共に、作品のディスプレイについても、もっと工夫をしていければと思っています。可愛い台紙につけてディスプレイすることが多いんですが、「木箱に入れて標本みたいにしてもいいんじゃない?」とアドバイスしてくださる方がいたり、生息地別に世界地図にディスプレイするのも楽しいかな、とか、やってみたいことはいっぱいあります。

今、少し具体的に考えているのは、「かなねこやの森」を作ることでしょうか。動物、昆虫、鳥、魚など、さまざまな生きものを作ってきましたし、イベントのある時期に合わせて季節を感じさせてくれる作品も販売してきました。こうした作品を集めて、自然の営みを感じられる、ひとつの世界を作ることができれば、と思っています。


手しごとを継続していけるコツは、「人に見てもらう機会」を作り続けること

手しごとの魅力、続けていくためのコツなどをお聞かせください。

子どもは今、2歳8カ月。日中は育児に追われ、寝付いてからの作業ですが、日々の生活の中で、この時間はかけがえのないものです。色鉛筆で描いてから焼き上がると想像していなかったような色が生まれたり、新たな発見もたくさんあります。何より、作品を作っていると無心になれる、というのが手しごとの魅力ではないでしょうか。

同時に、ここまで続けてこられたのは、イベントなどで私の作品を見て手に取り、「ステキだね」と評価してくださるお客様、アドバイスを下さる方たちの存在があってこそだと思っています。だから、イベントはなるべく断らず、出店できなくても委託でも参加します。期日という目標があることが大事なんです。季節のイベントに合わせて何を作るか考えるだけでワクワクします。考えることも作ることも楽しい。本当に好きでやりたいから続けられるのだと思いますし、作った作品を人に見てもらう機会を作り、さまざまな評価をしていただくことも、私にとって、手しごとを継続するためのひとつのコツなのかもしれません。まさに、てといとさんを利用されている皆さんと同じですね。

この世にひとつしかない作品を生み出すことの奥深さ、そして、 それを続けていける意欲の源泉として作品発信をきっかけとした「人との交流」がとても大事だということを実感しました。本日はありがとうございました。

※2020年06月時点の内容になります。

かなねこやさんの作品一覧はコチラです。
プロフィール
かなねこやさん
幼い頃から絵を描くことが好きで、結婚を期に本格的に絵を描くことを仕事にしようと2015年頃から製作をはじめる。傍らで作り始めた動物アクセサリーが評価され、徐々にその仕事に面白さを見出し夢中になる。製作した動物作品は100種類以上。季節に合わせた新作を、イベントなどで委託・出展販売中。イベントや新作に関するお知らせはInstagramやfacebookで随時更新。(プロフィールは記事掲載時のもの)
てといとのプロフィールページはコチラ
かなねこやインスタグラム
cananekoya
詳細URL
かなねこやホームページ
画像・テキスト資料出典
画像は全てかなねこや

関連記事