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ときめきや驚きを与えてくれる作品を、針や糸を使わず、簡単に、短時間で・・・・・”やってみる”楽しさを多くの人に

武蔵小金井の手芸カフェ「まにあ~な 」にて

布やパーツを貼り付けるだけで、どこの家庭にもあるティッシュの箱が世界でただ一つのキュートなケースに大変身!自分で使ってもプレゼントしても気分が”アガる”小物を、手近にあるもので安価に、簡単に、短時間で――そんなコンセプトの「簡単クラフト」のワークショップが大人気の星山薫さん。「簡単クラフト」を始めたきっかけ、大切にしていること、未来への思いなどをお聞きしました。

ティッシュボックスをデコッた「ブッシュドノエル 型ティッシュボックス」が大好評!「こんな可愛いものがこんなに簡単に!?」という驚きを提供したい

「簡単クラフト」のワークショップを始められたきっかけを教えてください。

もう10年以上前になりますが、子どもが幼稚園に通っていた頃、ヘアゴムを手作りしていました。 どんぐりのパッチワークチャームやプール用のビニールチャームなど工夫して作っていたのですが、それが周囲のママ友さんたちに、とっても好評だったんです。そんなママ友さんの一人が、フランスの組紐飾りであるソウタシエの作家のはやしだゆみさん。彼女が参加していた地元のハンドメイド作家さん達の展示即売イベントに「一緒に参加しない?」と誘っていただき、勇気を出して参加することにしたのです。

集まる人たちの年齢層を考えて、大人向けのヘアアクセサリーを出品したのですが、残念なことに全然ウケなくて(笑)。でもその時、周囲の方たちの様子をみて、手作りしたものが多くの人に喜びや驚きやときめきを与え、そのことをきっかけに会話が広がっていくことの楽しさを改めて実感しました。

それで、次の年のイベントでは、私も絶対”ウケる”ものをぜひ提案したいと、日々の暮らしの中でずっと考えるようになりました。そんな中で注目したのが、日々触れる市販のティッシュの箱。この箱、解体して改造すればいろんな形になるよね、と思い、いろいろトライしているうちに、かまぼこ型に変形できたんです。「これって、クリスマスのブッシュドノエル型ケーキになるんじゃない?布やブレード、小さいぬいぐるみとかでデコって、ティッシュケースとして機能するようにすれば実用性もあり喜んでいただけるのでは?簡単に作れるし、材料費もかからないし、それにブッシュドノエルって超かわいいよね!」と思いついたんです。

デザインを考えて作ってみた作品をイベントに出品し、作り方のワークショップを開いたところ、想像もしてないほど(笑)、大好評に。参加した方から「もっとこうすれば」とアドバイスもたくさんいただきました。そうしたアドバイスも取り入れ、私なりに「簡単クラフト」を進化させ、今日に至っています。その意味では、皆さんで作りあげてきた、という感じでしょうか。

ワークショップを主宰されるうえで大切にされていることは、どんなことですか?

まず、「簡単クラフト」で大切なのは手芸の「技術」ではなく、作品の「デザイン」だということです。暮らしを彩る小物ですので、目にするだけで、気分がアガる、ときめく、というのは、とっても大切。一目みて、「わあ、可愛い!」「ステキ!」と思っていただけるものにしたくて、そんなデザインを日々考えています。

そして、とっても大切だと思っているのは、そんな小物を、誰でも入手できる安価な素材で、難しいテクニックを遣わず簡単に短時間で作ることができるようにすること。子育てに奮闘してきた私自身がそうだったのですが、手作りが好き、可愛いものを自分で作りたいと思っていても、継続してコツコツ仕上げていくということが難しい人がたくさんいらっしゃると思うんです。そんな人たちが手近にある安価なもので気軽に手作りを楽しみ、一回のワークショップで作品ができるように工夫をしています。「こんな可愛いのが、こんなに簡単にできるんだ!」という驚きを提供したいですね。

さらにもう一つ、クリスマス、節句など、季節感を取りいれるようにもしています。作ってみたいなとアタマの中で思っていても、作るきっかけや理由がないと、なかなか実行できないですよね。「クリスマスだから」「お知り合いのお子様の節句のプレゼントに」といった動機を後押しできればいいなと思っています。



「こうしなくてはいけない」という絶対的なルールはなし。大らかな気持ちで手作りを楽しんでほしい

ワークショップにはどんな人がいらっしゃるのですか?教えるうえで心がけていらっしゃることはどんなことですか?

子供さんからご年輩の方まで、幅広い層の方々にご参加いただいています。ティッシュボックスを、切ったスイカの形に変形し布をパッチワーク風に貼り付ける作品のときは、夏休みの課題作品にしたいと子供たちが保護者の方々と一緒に参加してくれます。参加される方との対話の中で大切にしているのは、「こうじゃないとダメ」ではなく、「だいたいで大丈夫」ということでしょうか。

私の作品は私自身の完全なオリジナルですので、絶対的に守らなければならない技術が決まっているわけではないんです。私のワークショップでの作品作りは、原則として針や糸も使わないし、難しいテクニックも必要ないのですが、それでも、「ヘンになっちゃったらどうしよう・・・・・・」と心配される方もいらっしゃいます。そんな方には、「少しくらいゆがんでも、はみ出ても大丈夫。飾りで隠せば見えなくなるし、デザインに目が行くから、出来上がってみれば案外失敗は目立ちませんよ」と大らかな気持ちで作品作りを楽しんでいただけるようお声掛けをするようにしています。


自身の技術向上のためリボン刺繍に本格的に挑戦。「やってみる」「人に見せる」ことが進化の源となり手芸の楽しさを広げていく

ご自身の作品作りという点で挑戦されていることはありますか?

テクニックいらずのワークショップはずっと続けていきたいと思っているのですが、年齢を重ねるにつれ、一人の作りてとして少しずつでもいいから、進歩していきたいという思いが生まれてきて、最近、リボン刺繍に少し本格的に取り組んでいます。着られなく なった着物から作った『キモノヤーン』という素材と出会い、バラを刺しゅうした作品などを作りました。

リボン刺繍の技術を日々磨いていきたいですが、同時に「手軽に」「簡単に」「短時間で」をコンセプトとした「簡単クラフト」をやってきた中で培った知恵も取り入れていきたいと思っています。たとえば、手軽にリボン刺繡用でない普通のリボンを使ったり、幅広のリボンで目立つ大胆なデザインにすることでパッと目を引いたり、しかも幅広リボンは刺繡の面積も稼げるので時短になる、など、そうした手法も取り入れオリジナリティを出していきたいですね。


最後に、手芸は好きだけど、なかなか始められない方へのメッセージをお願いします。

かつての私自身がそうだったんですが、アタマの中で、「こんなものを作ってみたいなあ」「刺しゅうやソーイング、できればいいなぁ」と考えている人はたくさんいらっしゃると思うんです。そんな方には、ぜひ、考えているだけでなく、まずは「やってみる」「作ってみる」ことを始めていただきたいですね。そして、できた作品を、少し勇気を出して他の方に見せていただきたいと思います。実際にお見せしてもいいし、「てといと」のようなサイトやSNSを活用してでもいいと思うんです。

きっと、自分では思っていなかったようなご評価をいただけたり、「こんな風にしたら」といったアドバイスをいただけたり、励まし、刺激や気づきがいっぱいあるはずです。否定的な反応があっても別にご迷惑をおかけしているわけでもないし(笑)、いいじゃないですか。いいことも悪いことも含めて、人様からのご評価によって自分自身が進化していくと思うし、そのことによって世界が広がり、楽しみも増えていくと思います。ぜひ、一歩を踏み出していただきたいし、私のワークショップや作品作りも、そのきっかけのひとつとなればいいなと願っています。

他の方に喜んでいただいたりご評価いただくことで自分の世界も広がっていくという、手仕事の本質のひとつに改めて気づかされました。本日はありがとうございました。

※2020年03月時点の内容になります。

星山 薫さんの作品一覧はコチラです。
プロフィール
星山 薫さん
東京都在住。ブッシュドノエル型ティッシュボックス、魔法のステッキ型ギフトパッケージ、クリスマスツリー型キャンディブーケなど、キュートなオリジナル雑貨を製作。武蔵小金井の手芸カフェ「まにあ~な 」にてワークショップを開催。西荻窪のギャラリーステラにてハンドメイド雑貨の展示販売&ワークショップ『あなたは作る派?買っちゃう派?』に参加。針や糸を使わずソーイングのテクニックいらずで可愛い小物ができるワークショップには毎回幅広い層の人が集まり、すぐに満席なのだとか。最近では、本格的にリボン刺繍をはじめ、オリジナリティあふれる作品づくりを行っている。(プロフィールは記事掲載時のもの)
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