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「この子に最高の1着を着せたい!」あふれるほどのトキメキを詰め込んだ、ドール用の手編みセーター

どんなお洋服を着せてあげようかな?と、ブライスやバービーなど大好きなドールたちのセーターやカーディガンを自らデザインし、「ココペリーヌ」のブランドで販売もしている、橋本 芳(カオリ)さん。センスあふれるデザインや色づかいはもちろん、その手仕事の繊細さも見事です。「今この瞬間、自分が編みたいものを編む!」と、彼女のトキメキあふれる作品たちはどのように生まれているのでしょうか。話をお聞きしました。

ここまで本気で好きになれるものを見つけたことが嬉しい!

ドール用のお洋服、どれも素敵です。作品からココペリーヌさんの情熱を感じるのはなぜでしょうか。

私はドール用の服を編むことが本当に好きなんです。朝眼が覚めた瞬間に、もう編み物のことを考えています。編みかけの作品をどう進めようか、ひらめいたアイデアをどのように自分の作品に落とし込もうか、編み物に時間を割けるよういかに家事や食事などを済ませるか、などすべてを編み物に結びつけて生きています。

私にとって編み物とは、「生きる源」です。単純作業を延々続けていくその先に、美しい模様がどんどん出来上がっていく過程に、心を奪われるという感じ。心から好きになれるものを見つけた自分は、「本当にすごい!」って思っているんです(笑)。


サイズも小さく、飽きずに編める!ドールの服を編む楽しさを発見

作りはじめたきっかけを教えてください

きっかけは2017年、三男が高校を卒業し忙しかった子育てもひと段落した時です。何かをはじめたいと思い出したのが、小さな頃から好きだった編み物でした。それまでも時々家族のセーターや知人のお子さんの服を編むことはありましたが、人が着られるものってサイズが大きいし、その分時間もかかります。ひと月くらいずっと同じ色の毛糸を見て、ずっと同じものを編み続けていると、私の場合飽きてくるし疲れるし……その時ふと思い浮かんだのが、「ドールの服を編むこと」でした。ドールならばサイズが小さいためすぐに編めるし、少しずつ色々な色の毛糸が使えそう。試しにバービーのセーターを編んでみたらとても楽しくて、それ以来そのことばかりを考えるようになりました。

思えば小さな頃に好きで遊んでいた人形遊びの着せ替えは、買ってきたお洋服ではなく、自分のハンカチを加工したりリボンや紐を巻きつけたり、工夫しながら作って楽しんでいました。結婚後は子育てに忙しく、息子3人だったこともあり人形遊びの機会もなく、手芸からも自然と離れていましたが、子育てが一段落してみて、忘れていた「手芸の楽しさ」を思い出したのかもしれません。



どんどん上手く編めるように!自分に上達の伸びしろがあったことが嬉しい

一番好きなドールはブライスです。家には色やヘアスタイルが異なる7体のブライスがいますが、この子の髪色だったらこの色の服が似合うかな?など、「最高の1着を作ってあげよう」という気持ちで考えています。具体的には、「寅年だから寅のモチーフのセーターを作ろう」とか、同じ毛糸を1玉ずつ50色全色買い揃えてウキウキ眺めながら「どんなデザインにしようかな」と考えたり、手に入れためずらしい毛糸の特徴を活かすデザインを考えたり楽しみながらやっています。

大切にしているのは、「自分が大好きなドールのために作る」ということ。「このドールかわいい!この子に素敵なものを着せたい」という気持ちを持てるか否か。自分がときめかないと、良いものはできないと思うのです。

大まかなデザインを決めたら方眼紙にデザインを描き、その図面をもとに編んでいきます。途中でバランスを見ながら編み目の数を変えるなど調整。学校などで編み物を習ったことはないので自己流で考えた方法ですが、今はこの作業をPCソフトのエクセルで行っています。細かな修正も簡単ですし、色をつけて全体のイメージを見ることもできます。この編み図をもとに色違いを作ることも。絵が下手な方でもこの方法ならデザインできるのではないかと思います。ボツになったデザインもたくさんありますが、それも自分から出てきたアイデアの一つなので愛おしいと感じています。

基本的に製作には一番小さな棒針0号(2ミリ)を使っていますが、小さなドールのものを編む時は、1.2ミリ~1.5ミリなどより細い棒針を取り寄せて使っています。はじめた頃に比べたら、尚も細かく繊細な作品を作れるようになりました。ブライスのワンピースを今なら10~12時間で編めると思います。身長10センチくらいのプチブライスの服も当初は上手く編めませんでしたが、今は編み目を揃えて編めるようになりました。これも日々の修行の結果です。自分にはまだ編み物が上達できる伸びしろがあったと思うと嬉しくなります。


今この瞬間に自分が編みたい!と思うものを編む。その「ときめき」を共有したい

ハンドメイドサイトで販売されていますが、どのような方が購入していかれますか?

「欲しい方がいたらお譲りする」というスタンスで、ハンドメイドサイトで販売しています。普通のファッションと一緒でたくさんのお店がある中でたまたま私のサイトを見て「これが好き」「素敵!」といった、ときめきを共有することができたら嬉しいですね。製作に時間がかかるためひんぱんに出品できませんが、ありがたいことにコンスタントにご購入いただいています。

詳しくはわかりませんが購入した方々は、ドールを趣味で楽しんでいる大人の方が多いと感じています。ドールを通して自分の日常を発信したり、ドールと一緒に旅行に行ってドールを介して旅先を紹介したり。SNSのアカウントや画像を送ってくださる方が多く、よその家のドールたちが私が編んだ服を着て、こんなことをやっている!こんなところへ行っている!とその後を見ることができるのも楽しみの一つになっています。作って売ったら終わり、ではないところがいいですね。

以前は、「流行りのドールを使って作ればもっと売れるのではないか」「世間はこういったものを求めているのではないか」と、同じものを何着も作っていたこともありましたが、楽しくないのです。人生を楽しむために手芸をしているのに、追われるように手芸をするのは違うと思うのです。

今は少し時間がかかっても、価格が高くなってしまったとしても、自分が作りたいデザインや色の作品を作っています。「今この瞬間、自分が編みたいものを編む!」そして満足できるものが仕上がったら出品するというペースです。誰かに強制されることもなく、催促されることもありません。趣味の域を出ないと言われればそうかもしれないけれど、自分が大好きなことだからこそストレスを感じるやり方をしたらもったいない!自分の情熱が続くカタチでやっていきたいと思っています。



ドールが大好きな大人。でも、楽しいからいいやん!って思うんです

今後は、どんなことに挑戦していきたいですか?

息抜きにカラフルで元気なデザインのものを作ることもありますが、今は大人が好んで着るような落ち着いたテイストの作品を作っています。今後は、もっと大胆な色合わせしたものに挑戦したいですね。フェアアイルやカウチンセーターなど伝統的な模様を自分なりにアレンジして細かいフルーツ柄をかわいく編み入れてみるなど、伝統の中にも自分らしさが出せるようなデザインに挑戦していきたいです。季節やモチーフなどテーマを決めてデザインを展開していくのも楽しいと考えています。

私はもともと家でじっとしていることが苦にならないタイプ。いつも何時間も作業し続けているので、心配して家族が「休憩したら?」と言ってくれますが、不思議と疲れを感じたことはなくて「12時間も休まず同じのことを続けているのに、嫌になることが全くない!私にはそれほど好きなことってあるのよ、これってすごいことだと思わない?」と伝えています。

部屋の出窓にドールハウスを作って、撮影をしたり小物を入れ替えて楽しんだり……このドールの世界に出会うことができて、好きなドールの服を作って、ドールで遊んで、こんな大人でいいの?と思うこともあるけれど、楽しいのだからそれでいいやん!って開き直っています(笑)。

※2022年4月時点の内容になります。

プロフィール
ココペリーヌさん(橋本芳さん)
大阪府大阪市生まれ、小中高までは兵庫県宝塚市で育つ。高校~大学の5年間アメリカ西部のコロラド州に留学。日本に戻り結婚し、夫が営む小料理屋を支えながら息子3人を育て上げる。

2017年よりドール用の手編みのセーターやカーディガンなどの製作をスタート。ハンドメイドサイトで販売するほか、SNSで新作を発表している。

アメリカの国旗やハンバーガーのモチーフなどポップでカラフルなデザインが好き。無類の糸フェチで、気に入った糸を全色揃えたり、珍しい糸や小さなボタンを探したりすることを楽しんでいる。集めた糸は作業部屋の棚に種類ごとにケースに入れてストック。ボタンは仕切り付きのプラスティックケースに整理。中には直径3ミリほどの極小のボタンもあり、ドール用の服にはその極小ボタンも装飾ではなく留め具として装着されているなど、その繊細な仕事は多くのファンに高く評価されている。日々精力的に作品を作り続け心から手仕事を楽しんでいる。
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