「ニットカフェ 森のこぶた/前編」こだわりのコーヒー・紅茶と手づくりケーキでニットタイムを
2008年にオープンしたニットカフェ「森のこぶた」。10周年を経て、カフェとしてもニットカフェとしても さらに充実した場へと成長を続けています。
都市開発が進み、オフィス街のクールな顔に華やかな表情も加わった虎ノ門エリア。2020年の新駅完成に向けてさらに活気が増しています。
その虎ノ門駅から歩いて5分のところにある「森のこぶた」は、編み物や刺繍など、思い思いの手芸をしながら美味しいお茶とケーキがいただけるニットカフェです。
そんな、心もお腹も満たしてくれる可愛いこぶたの生い立ちストーリーを、オーナーの喜多見理恵さんに伺いました。
一面ガラス張りの明るいカフェですね。みなさんどのようにここを利用されているのですか?
朝は、ビジネスパーソンがモーニングを食べに寄ってくれます。モーニングセットが評判良くて、 朝から満席ということも最近は少なくないんですよ。
それが落ち着くと、幼稚園ママの刺繍グループが子供たちを見送った後に集まって、 お茶を飲みながら刺繍の続きをしている日もあります。(編集部注:現在ニットカフェは14時以降のご利用になります)
ランチタイムを挟んで、午後は、先生と生徒のグループがいらして 手芸教室として使ってくれたり、一人でふらりと来て、編み物の続きを黙々と やっていかれる方もいます。
普通のカフェの顔と、ニットカフェの顔。一日の中で二つが混在しているように見えますが…
どちらも同じくらい大切なんです。ニットカフェとしての役割だけではなく、 普通のカフェとしても成り立たせたいと。おいしくなきゃヤダ、ってね。笑
10年目を迎えましたが、そのバランスがとれたのは今年になってやっと、、、ですね。
美味しかったから、と、ランチだけで予約が入ったりすると、 本当に嬉しいなと思います。一方で、カフェで本を読むように 手芸の続きをやって、サッと帰っていかれる方もいたり。
私自身が、そういう場所があればいいな、と思っていたんです。
かつて「毛糸だま」の読者作品コンテストの企画では、入選の常連だったとお聞きしています。
喜多見さんご自身のニット歴について、お聞かせいただけますか?
子どもの頃は母親のマネをして編んでいましたが、独学でしたから小物ばかり作ってました。 ベストを編みたいと思っても、肩のあたりがどうしてもうまくいかなくて。 いつか習いたいと思いながらも忙しくて、教室に行ったのは20代後半でした。
ニット作家の黒ゆきこ先生の教室へ行ったのですが、そこがとっても自由で面白かったのですよ。 例えば、みんなで植物園へ行って、それぞれ好きな植物の写真を撮って、 それをネタにイメージを膨らませて作品を作るとか。
ある時は、「編めるものは何でも編んでみて!」と言われて、 荷造りひもや輪ゴムで編んだこともありました。ひも状のものだったら、何でもまず編んでみる。 みんなで、こういうひもは編みにくかったとか、スパゲティでも編めるかな?なんて話しました。
何かを見たらそのイメージで編んでみる、という教え方だったんです。
発想がどんどん広がりそうですね!喜多見さんは美大ご出身ですから、
もともとそのあたりはお得意だったのでは?
そういえば、中学の頃に習った絵の先生も 自由で型にはまらない教え方でした!
一つのコーヒーカップを題材に、まず鉛筆デッサンをして、今度はそれを着色して、 さらに着色したものを使ってデザインしてみる。大きく使うのか、小さくたくさん並べるのか、 どう配置したらいいデザインになるか、、、そういう訓練を、たくさんやりました。
その先生はお料理やお菓子作りも上手で、そんなお話を聞くのも楽しかったんです。 実はお菓子作りも子どもの頃から好きで。赤毛のアンを読んで、お話に出てくるお菓子を 実際に作ってみたりしてました。
でも、お菓子で何よりも影響を受けたのは、大学時代にバイトしてた喫茶店です。 そこのケーキが本当に美味しくて!コーヒーとケーキだけの普通の純喫茶で、 パティシエのおじさんがひとりでケーキを作っていたんです。 そのおじさんとは、今もケーキ作りで行き詰まると、うまくいかないんだけど、、、 なんて相談をすることもあるんです。
ニットもお菓子も小さい頃からの趣味が原点で、さらに、素敵な出会いがあって。
お仕事は、ニットとは関係あったのですか。
テレビの制作会社が長かったんですよ。とにかく忙しくて。 ドキュメンタリー番組や教育ビデオなどいろいろな作品を作りました。
それらと並行して、戦争の体験者と一緒に小学校などへ行き、子どもたちに戦争体験を伝える、という 「語り部」事業が印象的でした。
自分も、親や祖父母から戦争の話を聞いていましたから、それをちゃんと子供世代にも伝えていかないと、 という気持ちがあったんですね。
その仕事を最後に制作会社が解散しましたが、その時は「さあ、好きなことをやろう!」 という気持ちでした。
※「ニットカフェ」の名称はクロバー株式会社の登録商標です
※2019年1月時点の内容になります。
プロフィール |
喜多見 理恵さん ・東京生まれ ・女子美術大学 日本画専攻卒業 ・テレビ番組/ビデオ作品の制作会社に勤務する傍ら創作ニットを始める ・ニット作家 黒ゆきこ氏に師事 ・2008年5月江戸川橋にニットカフェ「森のこぶた」オープン ・2012年10月虎ノ門に移転 【個展】1999年月光荘(銀座)、2000年夢ギャラリ-(銀座)、2004年ギャラリー新宿高野 【出品】ロイヤルハイランドショー(英) 【I like Books展】2000年2002年2004年2007年2011年:檜画廊(神田神保町) 2012年2014年2016年:丸善日本橋 (プロフィールは記事掲載時のもの) |
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