1. HOME
  2. 手とひと
  3. Quoi? Quoi?「出来あがったとき自分が元気になる、嬉しくなる、ソーイングの楽しさを伝えたい」

Quoi? Quoi?「出来あがったとき自分が元気になる、嬉しくなる、ソーイングの楽しさを伝えたい」

デザイナー久文麻未さんとパタンナー三代朝美さんのQuoi? Quoi?(コアコア)は、同じアパレルメーカーの先輩後輩だったお二人が、退職後に結成したソーイングユニットです。2019年10月1日発売の新刊について、デザイナーの久文麻未さんにアトリエでお話を伺いました。

新刊『大人の着せ替え布人形』は、Quoi? Quoi?(以下コアコア)初のお人形の本です。なぜこのテーマになったのでしょう?

いつか人形を作ってみたいという気持ちはずっとあったのですが、作るとしても自分の趣味的なものとしか考えてなくて、なかなかそれに集中する時間はなかったんです。それが、今回編集者との打ち合わせの中で「人形もいいね」という話が出て、そこからはどんどん話が盛り上がって「洋服もちゃんとミシンを使って作る、ミニチュアサイズのものを作ったら可愛いね!」と広がっていったんです。

相方のパタンナー、三代さんに話したら「それならオーバーオールも作りたい、ダッフルコート、ステンカラーコートも…」と、次から次へとアイデアが出てきました。
お人形だから人間と違って頭が入る入らないとか、トップスも被れる被れないとか、そういうバランスがあって難しいと思うんですけど、すっごい真剣にすっごい本気出してパターンを考えてくれました(笑)。

お人形のロロと、ネコのノーマにキャラクター設定はありますか?

ロロは、誰にも媚びないわが道を行くタイプ。でも他人のことはちゃんと考える女の子で、とにかくオシャレに欲張り!フランスのとある大女優をイメージして作りました。
でも、それぞれ皆さんに好きなキャラクター設定をしていただければ良いんです。子供だと思ってくれてもいいし、10代、40代と思ってくれてもいい。
髪の毛の色を変えても、表情や目の色を変えても、まず作ることを楽しんでもらいたいなと思います。

ノーマはのんびり系のネコです。少し裏話をすると、ロロの髪の毛をつけるのがちょっと大変なので、もうひとつは動物ということになりました。笑。でも特別感のあるネコにしたかったのでオッドアイにしました。大きさは2人とも同じなので、洋服も取り換えられるしボディの型紙は2人とも全く一緒です。



タイトルに「大人の…」とありますね?

はい、実は作るのはそんなに簡単ではないんです。縫うことを、丁寧にしっかり楽しんでもらいたいと思っています。洋服を作るのと同じように楽しんでくれたらいいなと。

もちろん、自分の洋服と違ってお洗濯するわけではないので、端の始末は切りっぱなしでも良いし、手縫いで作ってもいいし。ピンで留めて縫うのも大変ということだったら、裁縫用の便利グッズで貼ってしまってもいいですよ。
丁寧に作りたい人は、ロックをかけたり裏地をつけたり。何よりも楽しんで作って欲しいので、どうしてもこうして欲しいということはないです。

人形の本なのに、こんな着こなしもいいなと思わず見入ってしまうリアルクローズ。ファッションブックのように、めくるだけでも楽しい内容です。ここからは、本を離れてコアコアについてのお話も伺いました。

コアコアが作る洋服についてもお話を伺いたいのですが、ラクに着れるのにオシャレな服、という印象です。

Quoi?はフランス語で「なぜ?」という意味ですが、「なんだこれは?」というものを作りたい、というところから始まりました。みんなにわかってもらえなくてもいいので、こだわりの服を作りたいと。華美な装飾はしていないけど、実はどこにもない型紙だと思っています。

私のああしたい、こうしたい、というデザインをきちんとカタチにしてくれて、さらに着るときれいになるように、パタンナーの三代さんがくみ取ってくれます。「コアコアの服は着たときのラインがきれいだね」と言っていただけることが多いのですが、着やすいけれどただのブカブカではなくて、細かいラインまですごく考えてパターンを作っている、私ひとりでは決して出来ないお洋服です。

ワークショップも開催していますが、みなさん時間内に完成されるようですね?

ワークショップは、私が教えるというよりも一緒に作りましょう!という気持ちでやっています。わからないことは何回でもいいから聞いてね、ここは絶対こうということはないんですよ、と。だから私は先生じゃないの。笑。作りたい、着たいという気持ちで最後まで完成してもらうようにしています。

持ち帰ると完成が一気に遠のきますよね。コアコアの服作りを通して伝えたいことはありますか?

私自身が、体調が悪かったときに初めて編み物をやってみて、小さなモチーフが出来た時の達成感が本当に嬉しくて。自分が元気でいられるのって達成感なんだなと思ったんです。誰かが落ち込んでいるときでも、悲しんでいないで何かやってみたら楽しいよって。私が伝えらえるのは手づくりの楽しさだなと思ったんです。

あとは「丁寧にこだわる」ということも伝えたい。最初はうまくできなくても、丁寧に、やり直してもこだわって作ることで誰でも上達するんです。「手づくりの洋服だね」って言われていたのが周りに「手づくり」と言われなくなったという生徒さんもいるんですよ。

初心者だと、やり直すことも億劫になりますが、そこにきちんと向き合うことが大切なんですね。最後に、これからの夢や目標を教えてください。

やってみたいことは、イラストレーターの方と一緒にプリント生地を考えて、それで洋服が作れたらいいなあと。一人ではできない事だから、一緒にどんな柄ができるのか考えられたらいいなと思っています。
それと、アフリカンプリントが大好きなので、来年2月頃にアフリカ展をやりたいと思っています。2018年にも開催したのですが、アフリカンプリントを使ってエプロンや雑貨を作って展示販売します。今回は冬のアフリカ展ですね。笑

いつも新しいを本を開くと、可愛い!着てみたい!と胸がおどるコアコアのお洋服。今回は、それを小さくしてお人形が着ているという、またトキメキポイントアップの素敵な新刊です。着てみたいという気持ちがあれば作れる、という麻未さんの言葉を聞いて、今回は久しぶりにチャレンジしてみよう、と心に決めました。
麻未さん、ありがとうございました。
「大人の着せ替え布人形」の詳細はコチラです

※2019年11月時点の内容になります。

「大人の着せ替え布人形」「ほんのりスイート デイリーウェア」の掲載作品の詳細をてといとで作品公開しています→コチラ
プロフィール
久文 麻未さん
デザイナー、ハンドメーカー。
桑沢デザイン研究所、文化服飾学院などで学んだ後アパレルメーカーのデザイナーを経て独立。 パタンナーの三代朝美さんとソーイングユニットQuoi?Quoi?(コアコア)とハンドメーカーとして活動中。 著書にデイリーウェア、デイリードレス、ストンとワンピース、ほんのりスイート デイリーウエアなど多数。 2019年10月に、誠文堂新光社より新刊『大人の着せ替え布人形 -小さくても仕立ては本格的』を発売。(プロフィールは記事掲載時のもの)
※ワークショップのご依頼は久文麻未さんのインスタグラムのメッセージでご連絡ください。
詳細URL
インスタグラムはコチラ
画像・テキスト資料出典
画像は全て(C) エムデザインオフィス

関連記事