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生徒さんのおかげで成長させてもらえますし、毎日が楽しい。 今、続けていられることが「夢」なんです。

滋賀県の大通りに面した、絵本から抜け出したようなお店「ウォームハウス」。1歩店内に入ると、優しい自然な色合いのパッチワーク作品や生地、カントリー雑貨が迎えてくれます。オーナーでパッチワーク講師の牧野孝子さんにお話を伺いました。

こんにちは。素敵な店構えでワクワクしながらドアを開きました。

26年前に、雑貨のお店としてスタートしました。その頃カントリーショップというのが流行り始めて、そんなお店は当時このあたりになかったので、最初とても賑わったんです。それが…すぐに暇になって…(笑)。仕方ないので、レジのそばでパッチワークを作っていたのです。そうしたらお客さんに「パッチワーク教えてもらえますか?」って聞かれたので「いいですよ」ということになって。
そこから、教えてくださいという方が一人増え二人増え。もともと雑貨しか置いていなかったのですけど、半年後には生地や手芸用品が半分以上を占め、パッチワークがメインのお店になっていました。



そもそものパッチワークとの出会いを教えていただけますか?

もともと洋裁をやっていたので、パッチワークにも興味はありましたが、本格的に取り組んだのは子供が産まれる前です。息子のために、おくるみに使うベビーキルトを作りたくて始めました。それからは、子供の成長に合わせてベッドカバーを作ったり、自分用にママバッグを作ったり。
そうするうちに、何か資格を取りたいと思うようになって、パッチワークの通信教育を始めました。勉強しながら家で少しだけ教え始めていましたが、ちょうどその頃お店をやることになって忙しくなったので、一旦そこで終わりにしました。


そして、お店がお教室になっていったのですね。パッチワークはデザインの要素が大きいと思うのですが、どのように考えるのですか。

私は、色としては、地味な渋い色が好きなんです。デザインは、元々パターンというのが昔からあってそれを元にするものもあれば、それを自分なりにアレンジすることもあります。自然の形態や自然のものをベースにデザインを考えるのが好きで、「この花をデザインしてタペストリーにしたい」ということもあります。使う布地は、私はコットンが多いのですけど、洋裁の残り生地を使ったり、ちょっとした端切れから「これを景色の空に使いたい」なんていうことも。考え方はテーマによっていろいろです。面白いことに、これを裏地に使いたいからトップはどうしようかな、なんて裏地から考えることもあるんですよ。


それぞれ思い入れはあると思いますが、中でも印象深い作品はありますか。

取り掛かって途中で1年くらい寝かせて、少し進めてまた…というような作品もあるけど、完成までに12年かかったというものもあるんです。1回トップを仕上げたのだけど、気分が乗らなくてそのまま袋に入れて片付けてしまって、ああ、あれを仕上げないといかんなあと思いながら、1年が過ぎ、2年が過ぎ…。でも12年経って、仕上げなきゃと思って取り掛かったのです。もともと小さい作品だったのをまわりに付け加えてサイズも大きくして、刺しゅうやアップリケも加えました。自分の技術も上達しているし、パッチワークのデザインも12年前とは変化していて、仕上げた時には自分が思っていた以上のものが完成しました。12年前に仕上げなくて良かった、と思いましたね。



素晴らしい達成感ですね!キルトコンテストでも多数受賞されています。

実は、私自身はあまり賞には興味なかったんです。そうしたら、生徒さんに「他の教室の先生が出して選ばれているから、牧野先生も出してください。」って言われて。それならと思って出してみたら、落ちてしまって!(笑)何回か続けて落ちた時に「もう今回落ちたら出さない」と宣言したのにその時もダメで、さすがにへこみました。でも生徒さんが「そんなこと言わないでもう1回やってください!みんなで東京に行きましょう!」って言ってくれたんですね。それで挑戦し続けられました。生徒さんに背中を押してもらって、生徒さんのおかげで成長させてもらっています。

教えて欲しいというところからお教室が始まって、生徒さんとのいい出会いが続いてるのですね。

最初の生徒さんは、20何年経つ今も続けているんですよ。それからは、お店の雑貨を見に来られたことがきっかけでパッチワークを始めた方もいるし、友達に誘われて「何か趣味があったらいいなあと思って」と、始めた方もいます。針を持ったことがない方やお裁縫が苦手という方もいましたが、そんな生徒さんがひと針ひと針作ることで「こんな自分でも作れました!」と言ってくれた時は嬉しかったです。パッチワークは時間もかかるけど、「こんな作品が作ってみたい」っていう生徒さんに対して、デザインやアドバイスをして、それをその生徒さんが達成してくれることが自分の大きな喜びでもあるんです。


最後に、これからの夢や目標を教えてください。

夢は、今やり続けられていることが「夢」です。これは主人の受け売りなんですけど(笑)。主人も吹きガラスを仕事にしているので、二人とも好きなことをやり続けています。
とにかく布が好き、針でチクチク縫う事が好きなので、今のまま生徒さんと一緒にお教室を楽しむことを、これからもずっと続けていきたいと思っています。

控え目な口調ながらも、パッチワークに対する情熱が伝わってくる牧野さん。2020年の東京国際キルトフェスティバルでも作品が展示されます。ぜひ、ご覧ください。

※2020年01月時点の内容になります。

プロフィール
牧野 孝子さん
滋賀県の「ウォームハウス」にて、パッチワーク教室を主宰。
キルトコンテスト「日本キルト大賞」にて受賞歴多数
2015年 額部門 企業賞
2017年 創作部門 奨励賞
2018年 審査員賞
2019年 ハートウォーム賞
2020年 トラディショナル部門 入選
(プロフィールは記事掲載時のもの)
ウォームハウスのお教室
初心者から経験者までどなたでも、各自のペースに合わせてご指導いたします。【予約制】
第19回東京国際キルトフェスティバル
2020/01/23(木)~29(水)東京ドーム
詳細はコチラ
詳細URL
ウォームハウスインタビュー
画像・テキスト資料出典
画像は全て(C) エムデザインオフィス

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