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「ニットカフェ 森のこぶた/後編」こだわりのコーヒー・紅茶と手づくりケーキでニットタイムを

制作会社を経て、お店の開店に向けて始動されたということですが、
いつかは起業したいという思いがあったのでしょうか?

どんな店にしようか考えていた時、ある雑誌の記事が目にとまりました。 たしかそれはアメリカ大使館の庭でたくさんの人が集まって編み物を行ったというもの。 9.11アメリカ同時多発テロ後、人々の沈んだ心を癒やすためのイベントとしてアメリカで行われたニットカフェを日本でも、、、という主旨のものだったと記憶しています。

「これだ!」と思いました。編みものには人の心を癒やす効果があるのでは? と思っていたことと、いつかおいしいお茶やケーキの店を開きたいという思いがつながった瞬間でした。 それを読んだときに、「これだよこれだよ!」と。やるならこれだな、と思いました。

不安もあったけど、とにかくやりたいという強い気持ちが、自分を動かしました。 とはいえ助っ人3人と私の4人の素人集団で、何から始めれば良いかもわからず、全てが手探り状態でした。 とにかく江戸川橋に物件をみつけて、2008年にオープンしました。

当時、手芸をする場所として店を構えている「ニットカフェ」はおそらくうちしかなかったのではないかと思います。 先生が場所を移動して教室を開催する、というカタチもまだ始まったばかりでしたね。 認知度は低かったけれど、テレビもラジオも新聞も、取材はたくさん入りました。


まだ「ニットカフェ」という言葉も珍しかったのでは。お店としても、
ニットカフェ自体も、認知させていくのはご苦労があったと思います。

ニットカフェとしてお店をスタートして、まる2年を過ぎた頃から、月に1~2回講習会の会場として 利用していただけるようになりました。

でも、江戸川橋という場所柄、ちょっと寄っていくという使われ方は難しかったんですね。 わざわざ目指して行く、という場所になってしまうので、ニットカフェとしては限界がありました。

カフェとしては、近所の方が重宝がってくれました。労働者の町だったので、がっつり系の丼ランチを作って、 よく利用していただいてました。コーヒーも紅茶も、かなりこだわって探して、 美味しいものを使っていたんですよ。

テレビ番組の収録場所として使ってもらえるようになって、アイドルが出ていたこともあり、 取材が増えたり、ファンの子が来るようになりました。 認知度が上がってきて、お客様も増えてきたなと思っていた頃に、、、 東日本大震災があったんですね。

その頃、虎ノ門のビルの1階が空いていて、諸々準備はありましたが移れることになったので 江戸川橋の方はたたみました。

2012年5月のことです。虎ノ門では、今までできなかったことをやりたい!と思いました。

お店をとりまく環境も、行き交うお客様もかなり変わりましたね!
どんな期待がありましたか?

地の利を生かして、「一人でふらりと入れる」ようにしたいと思ったんです。 何かの合間に、15分くらい寄って編み物ができる、そんな場所にしたいと。

2018年9月に、日本ヴォーグ社の「毛糸だまつり」というイベントがあって、そこに出店したんです。 その時に、お客様と直接話す機会がたくさんあったのですが、皆さん、「森のこぶた」の名前は知っていても、 どこにあるのか、どんな風に利用できるのか、ご存知なかったんですね。

虎ノ門の駅から5分なんですよ。お茶とお菓子をご注文いただくだけで、 場所代は別途必要ないんですよ。と直接お話して、「そうだったんですね」と 身近に感じていただけたようです。


ご自分が、「あったらいいのに」と思ってたお店に成長して、
理想のカタチに近づいた今、さらにどこを目指しますか?

毎年12月に「手作りマルシェ」といって、手芸作家の方たちに作品を展示販売していただいているんです。 うちの壁は全部棚になっていて作品や本をいつも展示しているんですけど、 そこを使って作品をご自分で展示していただいてます。

カフェだけで入ってきたお客様も、自由にご覧いただけます。気に入った手芸作品を購入される方もいて、 ニットカフェとカフェのお客様どちらにとっても良い機会となっていて、嬉しいです。 ジャズライブをやったこともあって、どちらのお客様にも喜んでいただける機会を もっと作っていきたいですね。

あとは、自分の作家活動も充実させたいです。今はスタッフも充実しているので、 ちょっと講習会に出てみようかなとか、作品展もやりたいとか、 自分で柄をデザインして、フェアアイルセーターも編んでみたいとか、 やりたいことはたくさんあります。笑

それと、ケーキももっと美味しくできるようになりたい。 最近は、キャロットケーキが人気ですぐになくなっちゃうんですよ。嬉しいけど、大変です。

これからも、ニットカフェとしてもケーキの美味しいカフェとしても、
ますます充実していきそうですね。森のこぶたのこれからが楽しみです!
ありがとうございました。

※2019年1月時点の内容になります。

::::::::: 前半を読む::::::::

プロフィール
喜多見 理恵さん ・東京生まれ ・女子美術大学 日本画専攻卒業 ・テレビ番組/ビデオ作品の制作会社に勤務する傍ら創作ニットを始める ・ニット作家 黒ゆきこ氏に師事 ・2008年5月江戸川橋にニットカフェ「森のこぶた」オープン ・2012年10月虎ノ門に移転 【個展】1999年月光荘(銀座)、2000年夢ギャラリ-(銀座)、2004年ギャラリー新宿高野 【出品】ロイヤルハイランドショー(英)  【I like Books展】2000年2002年2004年2007年2011年:檜画廊(神田神保町) 2012年2014年2016年:丸善日本橋
(プロフィールは記事掲載時のもの)
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森のこぶたHP
画像・テキスト資料出典
画像は© 森のこぶた

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